Opera Max の通信量節約の仕組み
日本時間の昨晩アップデートされた Opera Max 1.2 がどのようにして暗号化通信されている YouTube や Netflix でデータ量を節約しているのか、ここでは少し立ち入った解説を行います。
アプリやウェブサイトが HTTPS を使用して外部と暗号化通信を使用している場合、Opera Max のような通常のビデオ圧縮技術は対応出来ませんでした。
通常のデータ圧縮技術は、圧縮するデータの全て、取り分けビデオのデータ本体にアクセスする必要がありますが、HTTPS 通信はリクエストしたデータのペイロード(データの大部分を占める本体部分)に Opera Max のサーバがアクセスすることを妨げますので、原理的に Opera Max の通常のデータ圧縮技術は締め出されてしまっています。
モバイルネットワークにおける変化するスループット(たとえば、セルのカバレッジ/損失/多くのユーザがデータを大量に利用することなど)に対応するため、YouTube 等のビデオのコンテンツ提供者はアダプティブ・ビットレート(ABR)ビデオフォーマットを使用しています。ABR ビデオフォーマットが用いられることにより、ビデオプレーヤはビデオの解像度やビットレートをネットワークのスループットに応じて動的に選択することが可能となります。
ABR ビデオフォーマットが広く用いられる一方で、人気のあるビデオコンテンツ提供者は YouTube のように HTTPS へ、あるいは Netflix のように DRM を使用してコンテンツを保護する方向へ移行し始めております。帯域幅の節約を持続するため、Opera Max 技術開発チームはビデオのペイロードへアクセスする必要のない解決策を編み出しました。その結果、あなたがご覧になられるビデオストリーミングを我々のサーバへ送る必要が無くなりました。
YouTube や Netflix の暗号化されたビデオを Max は圧縮する代わりに、「トラフィック・ペーシング(Traffic Pacing)」あるいは「トラフィック・シェーピング(Traffic Shaping)」と ABR ビデオフォーマットを活用します。すなわち Opera Max のクライアント側のアプリがサービスに対応した YouTube や Netflix からの暗号化されたビデオストリームのデータを感知すると、Opera Max はビデオプレーヤに対して低速の接続下で提供されるコンテンツを取得するよう指示します。これは携帯端末上で行われますので、通常の圧縮時のように Opera のデータセンターを経由する必要はありません。
この外科手術的「トラフィック・シェーピング」技術は Opera Max を利用されるユーザにモバイルデータ節約に関して 2 つのメリットをもたらします。
1. ビデオストリームのダウンシフト(ビデオプレーヤが帯域を占有し必要以上にデータを消費することを抑制します)
a. ビデオプレーヤは可能な限りの通信帯域を占有しデータを消費する仕様になっています。モバイル接続時に 360p のビデオが必要十分な場合においても HD 画質のデータを取りに行くということです。HD 画質のビデオは契約しているデータプランをあっという間に使い尽くしてしまいます。(たとえば、6 分間の 1080p のビデオは 87.4MB を要しますが、同じビデオが 320p であれば 12.5MB で済み 86% もの節約が可能となります)そこでユーザの懐具合を考慮して、ビデオプレーヤに選択権を与える代わりに、Opera Max を使用することによってビデオ再生アプリを制御させることが可能となるのです。
2. オーバー・フェッチ・プロテクション(Over-fetch-protection)/ジャストインタイム(Just-In-Time) ビデオストリーム配信
a. モバイルにおける大多数のビデオは再生が完全に終了する以前に破棄されてしまいます。新しい Max の HTTPS ビデオ節約機能はデータの過剰な先取り(fetching)を抑制します。最後まで観るかどうか分からないビデオの大きなデータを先取りすることを抑えます。Max はビデオプレーヤがビデオストリームをジャストインタイム方式で取得するようにし、観られることなく破棄される過剰に先取りされるデータ分を削減します。
これらの機能は Opera の Rocket Optimizer が 2014 年から使用しているテクニックであり、今回から Opera Max のユーザにもご利用いただけるようになりました。Rocket Optimizer はオペレータのネットワーク上で使われるキャリアでの使用に耐え得るビデオ圧縮技術です。Rocket Optimizer の顧客には Verizon Wireless を始め世界中のモバイルオペレータが含まれます。